GPIF、2020年度の運用報告を発表
私たちの老後の支えの土台となるのは厚生年金や国民年金です。
今月はその年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(以下GPIF)が7月2日に発表した2020年度の運用状況を確認をしておきましょう。
2020年度 運用成績はプラス25.15%
2020年2月後半から3月末にかけての新型コロナによる暴落により2019年度の収益率は-5.2%でしたが、その後の株式市場の上昇により2020年度は25.15%と大きく回復しました。
GPIFは資産全体を株式と債券に分散投資をしています。現在の配分は以下のようになります。
運用資産全体の値動きの幅、長期的に期待できる収益などを勘案してこのような配分にしています。
下図は2001年以降の累積収益の推移を表しています。
青の棒グラフは四半期毎の収益率です。四半期で見るとプラスの時、マイナスの時があり殖えたり減ったりしていますが時間の経過とともに収益が積みあがっていることがわかります。
短期的な値動きに惑わされずに企業の成長の果実が得られるのを待つ、長期積立投資と同じスタイルです。
運用資金は国民の財産なので四半期ごとに運用成果を公表しています。マイナスの四半期報告の時には不安を煽るような見出しが並びます。
2018年12月期に大きく下落しています。この時のニュースには以下のような見出しが並びました。 •GPIF、過去最大のマイナス運用14.8兆円 株安響く=18年10─12月期実績 •日本の年金運用で14兆円の巨大赤字 •年金「14兆8038億円」を損失し、知らぬふりする政府の魂胆 •公的年金15兆円の損失で、そろそろ考えるべき「逃げるタイミング」 •
有名なメディアや著名な経済評論家の記事の見出しです。このような記事や解説を大事な老後の資産形成の羅針盤にしてはいけない、ということがよくわかりますね。
国際決済銀行(BIS)が先月公表した年次経済報告書では世界経済について3つのシナリオを示しました。 ①パンデミックが次第に落ち着いて消費拡大が継続、物価上昇も限定的 ②物価上昇が予想以上に進み予想を超える金融引締めになる ③パンデミックが制御できず景気回復がとん挫する ●
②③の場合にはショック安になるかもしれませんが、値動きを解説するニュースに惑わされず継続することが長期積立投資では大切になります。